蛍光灯が製造中止になるのはなぜ?ビルメンテナンスのプロが教える2027年への備え

2026.03.13

こんにちは!ダイキチカバーオールの細川です。

 

2026年も3月に入り、春からの新年度に向けて、ビルや店舗の設備点検を予定されている方も多いのではないでしょうか。

 

日々、多くの建物の清掃やメンテナンスに携わっている私たちですが、皆様は「2027年にすべての蛍光灯が製造中止になる」ということをご存じでしょうか?

 

「まだ先の話だと思っていた」「そもそもなぜ中止になるのか詳しく知らない」という方も多いはずです。しかし、2026年3月の現在、すでに市場では在庫の減少や価格の高騰が始まっており、早めの情報収集が不可欠な状況となっています。

 

清掃を通じて建物の資産価値を守るパートナーとして、この「蛍光灯の製造中止」という大きな変化は、皆様に必ず正しくお伝えしておくべき重要事項だと考えています。

 

この記事では、製造中止の背景、在庫不足の予測、そして今すぐ対策を始めるべきコスト上のメリットを簡潔にまとめています。

「まだ使えるのにもったいない」「なぜ国を挙げてやめさせようとしているの?」と疑問に思う方も多いのではないでしょうか?その理由は、大きく分けて3つあります。

 

①国際法「水俣条約」に基づく製造・輸出入の禁止

最も大きな要因は、国際的な取り決めです。水銀のリスクから環境と人を守るための「水銀に関する水俣条約」に基づき、2023年11月に開催された第5回締約国会議(COP5)において、水銀添加製品である蛍光灯の製造および輸出入を2027年末までに全世界で段階的に廃止することが合意されました。

 

これにより、2028年からは日本国内で新しく作ることができなくなるだけでなく、海外から輸入してくることも法律で禁止されます。

つまり、今お店にある在庫がなくなれば、新しく手に入れる手段が完全になくなってしまうということです。蛍光灯が市場から消えてしまう日は、もう目の前まで迫っています。

 

② 環境と健康への影響を抑えるための有害物質の排除

なぜこれほどまでに、蛍光灯に含まれる「水銀」が問題視されているのでしょうか?

 

それは、蛍光灯が「破損したとき」や「正しく捨てられなかったとき」のリスクが極めて高いからです。

蛍光灯の中に含まれる有害な水銀が外に漏れ出すと、土や水を汚染してしまいます。
それが巡り巡って魚などの食べ物を通じて人の体に取り込まれると、脳や神経に深刻なダメージを与えるなど、健康に大きな被害を及ぼす可能性があります。

 

私たちビルメンテナンスの現場においても、古い蛍光灯が割れてしまったり、不適切な処理がされたりすることは、建物全体の安全管理に関わる重大なリスクだと考えています。製造中止をきっかけに、こうした有害な物質を建物から完全になくすことは、そこで働く方や訪れる方の健康を守るための、とても大切な一歩になります。

 

③ LEDへの転換による省エネと地球温暖化対策

最後は、地球環境を守るための「省エネ」と「廃棄物の削減」という視点です。

 

現在、世界中で地球温暖化対策が進んでいますが、その中でも照明をLEDへ切り替えることは、効果が高い方法の一つとされています。蛍光灯は電気をたくさん使いますが、LEDはその半分以下の電気で同じ明るさを保つことができます。使う電気が減れば、発電するときに出るCO2(二酸化炭素)も減らせるため、地球に優しい選択となります。

また、LEDは蛍光灯に比べて約4倍も長持ちします。一度導入すれば長期間交換の必要がないため、排出されるゴミの量を大幅に減らすことができます。

 

ビルメンテナンスの観点からも、高所での管球交換といった危険を伴う作業の回数を劇的に減らせることは大きなメリットです。環境負荷を軽減しながら、現場で働く人の安全も確保できる、持続可能な管理体制が実現します。

予想される「在庫不足」と「工事の渋滞」

「期限は2027年末なら、まだ1年半以上ある」と思われるかもしれませんが、2026年3月の現時点で、すでに市場には大きな変化が現れています。期限直前になって慌てないために、今後のスケジュールと予測されるリスクを把握しておく必要があります。

 

・メーカーの生産終了と在庫の枯渇

国内大手メーカーの多くは、すでに照明器具(本体)の生産を完了しています。現在は「交換用のランプ(管)」のみが製造されていますが、これも2027年末には一斉に終了します。

 

過去の例を見ても、生産終了が近づくほど駆け込み需要が発生します。「いざ切れた時に、どのお店を探しても在庫がない」という事態は、2027年を待たずして起こる可能性が非常に高いのです。

 

・工事コストの高騰と技術者不足

2027年が近づくにつれ、全国のオフィス、工場、マンションで一斉にLED化工事が始まります。これにより、電気工事士の予約が取れず、工事まで数ヶ月待ちといった「工事渋滞」が発生するリスクが高まります。

 

また、需要が集中すれば工事費や資材価格の上昇も考えられます。市場が比較的落ち着いている2026年中に計画を立てることが、結果的にコストを抑えることに繋がります。

コストはどう変わる?LED化による節電効果

昨今の電気料金高騰を考えると、LED化によるコスト削減効果は、以前よりもはるかに大きくなっています。具体的に蛍光灯とLEDでどれほどの差があるのか、主要なポイントを比較表にまとめました。

 

比較項目蛍光灯
LED照明
入手性
2027年末で製造・輸入終了今後も安定供給される
寿命約6,000~12,000時間(1日8時間使用の場合、約2~4年)約40,000時間(1日8時間使用の場合、約14年)
消費電力高い低い(蛍光灯の50%以下)
環境負荷水軍を含むため、吸い込むリスクがある水銀を含まないため、安全性が高い
虫の寄りつき寄る(紫外線を出す)寄らない(紫外線を出さない)

 

・圧倒的な寿命の差が「管理コスト」を下げる

表の通り、LEDの寿命は蛍光灯の約4倍です。一度導入すれば長期間交換の必要がないため、これまで定期的に発生していた「ランプの購入費用」や、業者に依頼していた「交換作業の人件費」を大幅にカットできます。

 

・消費電力50%削減による電気代の圧縮

LEDは蛍光灯の半分以下の電力で、同等以上の明るさを確保できます。
例えば、オフィスで100本の蛍光灯(40形)を使用している場合、LED化することで年間15万円〜20万円程度の電気代削減が見込まれるケースも珍しくありません。

 

そのため、「故障してから検討する」という事後対応ではなく、まだ使用できるうちにLED化へと踏み切ることは、中長期的な視点で見れば月々の固定費を確実に削減できる、非常に賢明な設備投資と言えます。経営効率を高め、ビル管理の安定性を向上させるためにも、早期の切り替えは極めて合理的な選択肢となります。

ビルメンテナンスの視点で見るLED化副次的のメリット

単なる「節電」以外にも、建物の維持管理においてLED化は多大な恩恵をもたらします。

 

・安定器の劣化に伴う火災リスクの回避

蛍光灯器具には、電気を制御する「安定器」という部品が内蔵されています。
この安定器の寿命は、一般的に10年から15年と言われています。

ランプだけを新品に交換し続けても、本体内の安定器が劣化したままだと、発熱や異音、最悪の場合は発火事故を招く恐れがあります。器具ごとLED化することで、こうした目に見えない設備の老朽化リスクをリセットし、建物全体の安全性を高めることができます。

 

・防虫効果による美観と清掃性の向上

実は、多くの虫は蛍光灯から出る微量な「紫外線」を感知して集まってきます。一方、LEDは紫外線をほとんど放出しないため、照明周りへの虫の飛来を大幅に抑制することが可能です。

 

これは特に飲食店やマンションの共用部において、クモの巣や虫の死骸による汚れを軽減し、日常的な清掃負担を減らすことに直結します。常に明るく清潔な環境を保つことは、利用者や入居者様からの信頼感を守る、重要な資産管理のひとつです。

失敗しないLED切り替えの3ステップ

1.現状の「照明資産」をリスト化する

まずは、建物内のどこに、どのような種類の蛍光灯が何本あるのかを把握することから始めましょう。

 

特に、吹き抜けロビーや外壁看板など、「交換に足場や高所作業車が必要な場所」を優先的にピックアップしてください。こうした場所をLED化するだけで、将来的なメンテナンス費用の大幅な削減が確定します。

 

2.長時間点灯する場所から優先的に実施する

全館一括での更新が予算的に難しい場合は、2026年度は「共用部や廊下」、2027年度は「事務室内」といった具合に、段階的な切り替えを検討しましょう。

 

特に24時間、あるいは1日10時間以上点灯している場所から着手することで、削減された電気代を次の工事費用に充てるということが可能になります。

 

3.新年度に向けた支援制度の有無を確認する

照明のLED化は国が推進している施策のため、自治体によっては省エネ改修を支援する制度を設けている場合があります。

これらの制度は年度ごとに予算が決まっており、2026年3月の現時点では、すでに受付を終了しているものも多いかもしれません。

 

しかし、4月の新年度から新しい公募が始まるケースも多々あります。お住まいの地域や事業所の自治体で、新しい支援策が出る予定はないか、一度ウェブサイトなどで情報収集をしておくことをおすすめします。

まとめ

蛍光灯の製造中止は、単なる消耗品の変更ではなく、建物の資産価値と安全性を維持するための「インフラ更新」です。

 

経営効率を高め、ビル管理の安定性を向上させるためにも、早期の切り替えは極めて合理的な選択肢となります。ダイキチカバーオールは、皆様の建物の価値を支えるパートナーとして、今後も最適な情報を提供してまいります。

 

2027年の期限を待たず、2026年の今、現状の設備状況を確認しておくこと。それが、最も賢いビルメンテナンスの第一歩です。毎日を過ごす場所が、より明るく、より安全で、持続可能な場所となるよう、まずは身近な照明のチェックから始めてみてはいかがでしょうか。

参照元情報

・環境省:一般照明用の蛍光ランプの規制についてhttps://www.env.go.jp/chemi/tmms/lamp.html

 

・経済産業省:蛍光灯からLED照明への切り替えはお済みですか?https://www.meti.go.jp/policy/mono_info_service/joho/led_shomei/index.html

 

・一般社団法人 日本照明工業会:蛍光ランプをご使用の皆様へ全ての一般照明用蛍光ランプ(蛍光灯)について製造・輸出入の禁止が決定https://www.jlma.or.jp/led-navi/contents/cont09_mercuryLamp.htm