HACCPが法律で制度化

2022/09/05

株式会社ダイキチの高(コウ)です!

弊社では、飲食店を中心にオフィス・保育施設・幼稚園・福祉施設・スーパーなど、衛生管理の上で重要となる、害虫駆除・害獣駆除をしています。

飲食業界に属される方であれば、一度は「HACCP(ハサップ)制度」という単語を耳にしたことがあるかと思います。実は、令和3年6月からHACCPは義務化されていて、食品工場のみでなく、飲食店を含むすべての食品事業者が、HACCPに沿った衛生管理を行っていく必要があります。

しかしながら、急にそんなこと言われても何をどこまでのレベルで取り組めばいいのか分からない!といった方がほとんどだと思います。今回は、HACCPってそもそも何なのか、何をどうすれば良いのか、についてお伝えできればと思います!

HACCPとは?

「危害(Hazard)」「分析(Analysis)」「重要(Critical)」「管理(Control)」「点(Point)」の頭文字をとってHACCPと呼ばれています。アメリカのアポロ計画で、宇宙の安全性を確保するための衛生管理方法です。

頭2文字の「HA(Hazard/Analysis)」は危害要因分析を意味します。
有害物質・異物・微生物・細菌などが、食品の中に入る事による「人体や健康への悪影響」を想定した管理方法やルールを作成します。

残る3文字の「CCP(Critical/Control/Point)」は重要管理点となります。
「HA」で決めたルールに基づき、特に重要となる製造や加工の工程を管理します。

上記をまとめると、HACCPは製造にかかわるリスク管理とそのために工程を細分化します。これらを行う事で、トラブル時にもすぐに原因を発見し、問題解決に取り組めます。

事業者の種類で衛生管理基準も異なる

飲食店、食品工場以外にも飲食物を取り扱う事業者はたくさんあります。

その分類によって、衛生管理の基準も二分化します!

【HACCPの「考え方を取り入れた」衛生管理】

対象事業者として、「小規模な営業者等」が義務化されています。

小規模な営業者の基準としましては、厚生労働省のホームページにて以下の通りに記載されています。

参照(https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/kenkou_iryou/shokuhin/haccp/01_00019.html)

•食品を製造し、又は加工する営業者であって、食品を製造し、又は加工する施設に併設され、又は隣接した店舗においてその施設で製造し、又は加工した食品の全部又は大部分を小売販売するもの
(例:菓子の製造販売 、 豆腐の製造販売、食肉の販売、魚介類の販売 等)
• 飲食店営業又は喫茶店営業を行う者その他の食品を調理する営業者
(そうざい製造業、パン製造業(消費期限が概ね 5日程度のもの)、学校・病院等の営業以外の集団給食施設、調理機能を有する自動販売機を含む)
• 容器包装に入れられ、又は容器包装で包まれた食品のみを貯蔵し、運搬し、又は販売する営業者
• 食品を分割して容器包装に入れ、又は容器包装で包み小売販売する営業者
(例:八百屋、米屋、コーヒーの量り売り 等)
• 食品を製造し、加工し、貯蔵し、販売し、又は処理する営業を行う者のうち、食品等の取扱いに従事する者の数が50人未満である事業場
(事務職員等の食品の取扱いに直接従事しない者はカウントしない)

上記に該当する場合、厚労省が確認した手引書を参考に、
1.手引書の解説を読み、自分の業種・業態では、何が危害要因となるかを理解し、
2.手引書のひな形を利用して、衛生管理計画と(必要に応じて)手順書を準備し、
3.その内容を従業員に周知し、
4.手引書の記録様式を利用して、衛生管理の実施状況を記録し、
5.手引書で推奨された期間、記録を保存し、
6.記録等を定期的に振り返り、必要に応じて衛生管理計画や手順書の内容を見直す
参照(厚労省:https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/0000179028_00003.html)
以上6項目を実施していれば、公衆衛生上必要な措置を定め、遵守しているとみなされます。

【HACCPに基づく衛生管理】

対象事業者として、「大規模事業者」「と畜場」「食鳥処理場(認定小規模食鳥処理事業者を除く)」が義務化されています。
参照(https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/kenkou_iryou/shokuhin/haccp/01_00020.html)

実施する内容としまして、厚労省では以下のように記載されています。
1.「一般的な衛生管理」及び「HACCPに沿った衛生管理」に関する基準に基づき衛生管理計画を作成し、従業員に周知徹底を図る
2.必要に応じて、清掃・洗浄・消毒や食品の取扱い等について具体的な方法を定めた手順書を作成する
3.衛生管理の実施状況を記録し、保存する
4.衛生管理計画及び手順書の効果を定期的に(及び工程に変更が生じた際等に)検証し(振り返り)、必要に応じて内容を見直す

一般的な衛生管理とは?

厚労省で発布されている、一般的な衛生管理に関する基準としては全14項目あります。

1.食品衛生責任者などの選任
2.施設の衛生管理
3.設備の衛生管理
4.使用水等の管理
5.ねずみ及び昆虫対策
6.廃棄物及び排水の取扱い
7.食品又は添加物を取り扱う者の衛生管理
8.検食の実施
9.情報の提供
10.回収・廃棄
11.運搬
12.販売
13.教育訓練
14.その他

大多数は言葉の通りですが、その中でも3つ詳細を追記したいと思います。

・使用水等の管理
水道水だけではなく、飲用に適する水を使用する際、水質検査や貯水槽清掃、殺菌・除菌装置の整備等を年1回以上行う必要があります。

・ねずみ及び昆虫対策
衛生管理として、食品ではありませんが年2回以上の害虫駆除・害獣駆除作業、もしくは定期的に生息調査等に基づいた防除を行う必要があります。

・情報の提供
具体的には、消費者に対する製品の情報提供や健康被害又は、それに繋がるおそれが否定できない情報の保健所へ提供に関することが出来るようにする必要があります。

その他、具体的な内容をご確認される際は、下記の厚労省で出されているページをご覧いただけますと幸いです。
参照(https://www.mhlw.go.jp/content/11130500/000662484.pdf)

HACCPに沿った衛生管理とは?

冒頭で記載いたしました、HACCPの説明とも一部重複しますが、
1.危害要因の分析
2.重要管理点の決定
3.管理基準の設定
4.モニタリング方法の設定
-2.重要管理点で決定した内容の実施状況を高頻度に確認する方法
5.改善措置の設定
-4.モニタリング方法に沿った確認の結果、管理基準に満たないと判明した場合の改善措置
6.検証方法の設定
-1.~5.にて実施した内容の効果を定期的に検証する手順
7.記録の作成
-各業種に応じた、上記6点の内容に関する書面とその実施記録を作成
8.小規模営業者等への弾力的運用

このように書き出してみると、難しい言葉もあって、どう取り組むのがベストなのか迷いどころですね・・・。

衛生管理のマニュアル作成だけでなく、それらを運営し、記録を残して改善を加え続ける、特に飲食店経営となると、大半がアルバイトですので、中々難しいのではないでしょうか。

飲食に携わる業界だけではなく、事業経営の中で業務の全てを自社で内製化できる会社は極少数です。ほとんどが、知識や労力が不足している部分においては、専門業者を利用しています。

新型コロナウイルスやサル痘など、感染症の大流行によって、衛生管理に対する重要性は特に高まっています。私も最近では、飲食店選びの際には美観も重要な選択基準となってきました。

率直に申し上げて、HACCPに関する対応を完璧に行えている飲食店はまだまだ少ないと思います。このような制度を理解し、先んじて取り組めている状態であれば、集客力向上や宣伝材料にもなってくるように感じます。

弊社では、HACCPに関するお手伝いや害虫駆除・害獣駆除など、様々な衛生管理について対応させていただいております。ちょっとした相談事でも、何なりとお問合せ頂ければと思います!