「春」も感染性胃腸炎の流行に注意を!

2025.03.26

3月に入り暖かくなってきて、花粉の飛散がピークを迎えましたね。

そんな中、気を付けていただきたいのが「感染性胃腸炎」です。

 

今回は、保育園、幼稚園、学校、高齢者施設など、集団生活を送る場において特に注意が必要な「感染性胃腸炎」について、その種類や危険性、対策をご紹介します。

 

「うちの子は大丈夫かな?」「施設での対策は十分?」そんな不安を抱えている保護者の方、施設関係者の方は必見です!感染性胃腸炎の知識を深め、実践していきましょう。

冬から春先にかけて流行する主な原因ウイルスと特徴

感染性胃腸炎は、ウイルスや細菌などの病原体が原因で起こる胃腸炎です。 主な症状は、嘔吐、下痢、腹痛、発熱など。特に、抵抗力の弱い小さなお子さんや高齢者の方は重症化しやすく、注意が必要です。

 

ノロウイルス

感染力が非常に強く、少量のウイルスでも感染します。食品や人を介して感染が広がりやすく、集団感染の原因が最も多いのが特徴です。

 

ロタウイルス

乳幼児がかかりやすく、激しい症状を引き起こします。ワクチン接種で予防できますが、油断は禁物です。

 

主な感染経路は、ウイルスが付着した食品や手指を介して口から感染する「経口感染」、感染者の嘔吐物や便から飛沫を吸い込むことで感染する「飛沫感染」、ウイルスが付着した手で口や鼻に触れることで感染する「接触感染」の3つです。

 

中でも特に注意したいのが、ドアノブ・手すり・スイッチなどの不特定多数の人が触れる場所から感染する「接触感染」です。

感染性胃腸炎を防ぐ5つの対策

これからご紹介する5つの対策は、どれも基本的なことばかりです。

「そんなのもう知ってるよ!」と思われるかもしれません。でも、ちょっとだけ立ち止まって考えてみてください。

 

トイレの後、石鹸を使って30秒以上、しっかり手を洗っていますか?

食事の前、調理の前にその都度、きちんと手を洗う習慣は身についていますか?

生肉や生魚を扱った後、まな板や包丁はすぐに消毒していますか?

 

大切だと分かっていても、ここまで徹底することは容易ではないかもしれません。ですが、この一つ一つの対策で感染リスクを少しでも減らすことができますので、改めてチェックしてみてください!

 

1.こまめな手洗い・うがい

石鹸で30秒以上かけて丁寧に手を洗い、うがいもしましょう。

帰宅後だけでなくトイレの後、調理前・食事前は必ず行い、手のひらだけでなく爪の間や手首までしっかり洗うことが大切です。

 

小さなお子様がいる場合は、手洗いの歌を歌ったりポスターを掲示したりするなど、楽しく習慣づける工夫をしてみて下さい!

 

2.食品の加熱

食品は85℃以上の熱で90秒以上、しっかり加熱しましょう。

食品から感染するのは主にノロウイルスで、特に二枚貝(カキ・アサリ・シジミ)に注意が必要です。

 

ロタウイルスは、特定の食品が主な感染源となるわけではなく、主に「糞口感染」つまり、ウイルスに汚染された便が、何らかの形で口に入って感染します。そのため、「特定の食材」を避けること以上に、「衛生環境全般」に気を配ることが重要です。

 

3.調理器具の消毒

まな板・包丁・ふきんなどは、使用後すぐに85℃以上の熱湯で1分以上加熱するのが最も有効的ですが、煮沸消毒できないものは次亜塩素酸ナトリウム(塩素濃度200ppm)で消毒しましょう。

※200ppmの希釈方法:水500mlに対して、ハイター約1.7ml(小さじ3分の1程度)

 


4.嘔吐物・便の処理

特に小さなお子様がいらっしゃる方で処理の際は、使い捨ての手袋・マスク・エプロンを着用し、次亜塩素酸ナトリウム(1000ppm)で消毒しましょう。

処理後は窓を開けて十分に換気し、使用した道具も消毒することをおすすめします。

※1000ppmの希釈方法:水500mlに対して、ハイター約8.3ml(小さじ2弱)

 

5.共有物の消毒

ドアノブ・手すり・スイッチなど、人がよく触る場所は特に、次亜塩素酸ナトリウム(200ppm〜500ppm)でこまめに消毒しましょう。

※500ppmの希釈方法:水500mに対して、ハイター約4.2ml(小さじ1より少し少なめ)

ノロ・ロタウイルスの消毒にアルコールは不十分⁈

消毒といえば「アルコール」を思い浮かべると思いますが、ノロウイルスやロタウイルスなどの消毒には、次亜塩素酸ナトリウムを含む塩素系消毒剤が有効です。

 

希釈方法が消毒する場所によって違うので、上記対策の希釈方法を参考にしていただければと思います。ドアノブなどの金属製品は錆や変色の恐れもあるので、消毒後した後すぐに水拭きすることをおすすめします。

 

⚠使用上の注意

 

※酸性と混ぜると有毒な塩素ガスが発生する危険性があるため、酸性の物が入っていた容器は使用しないでください。

 

※必ず換気して使用してください。

 

※手に付いた場合はすぐに洗い流してください。

【まとめ】

感染性胃腸炎は決して他人事ではなく、ウイルスが目に見えないので、どこでもらってくるか、うつしているか分かりません。

 

最近では新型のノロウイルスが流行しており、免疫のない人がほとんどで感染リスクが高いため、更に注意が必要です。

 

正しい知識を持ち、一人ひとりが適切な対策を実践することで、感染リスクを大幅に減らすことができます。感染性胃腸炎をしっかり予防して、この春を元気に過ごしましょう!